DX PROJECT 自動化技術で労働人口現象という社会課題の解決を目指す。 DX PROJECT 自動化技術で労働人口現象という社会課題の解決を目指す。

OUTLINE OUTLINE

人口縮小会社に求められる遠隔自動化クレーンを開発 人口縮小会社に求められる遠隔自動化クレーンを開発

少子高齢化の影響は様々な業界に及んでいます。海運業界もそのひとつです。過酷な労働環境による人手不足は喫緊の課題になっています。その解決策として、当社が開発してきたのが、遠隔自動化クレーンです。
従来のクレーン操縦は地上から約20m上の操縦席に人が乗り込み、前屈みの姿勢のまま長時間、作業を行ってきました。さらに、熱い鉄板の荷動きを行う際は、暑さに耐えながら操縦してきました。
クレーンを遠隔自動化にすることで、そうした過酷な労働環境ではなく、安心安全な室内でゲームを操作するように、操縦できるようになりました。
島国である日本にとって、海運は経済の要。遠隔自動化クレーンの普及に努めることが、日本経済の発展にも寄与できると考えます。

エンジンを動かす エンジンを動かす

PROJECT MEMBER PROJECT MEMBER

山下 輝之
事業部長 運搬機システム事業部
事業部長
TERUYUKI YAMASHITA TERUYUKI YAMASHITA
宮田 淳也
プロジェクトリーダー 運搬機システム事業部
制御システム部 制御グループ 主管
JUNYA MIYATA JUNYA MIYATA
青木 孝太
プロジェクト担当 運搬機システム事業部
制御システム部 制御グループ
KOTA AOKI KOTA AOKI

※所属名等は取材当時のもの

why do this project why do this project

30年間の積み重ねが2022年の納入に結実 30年間の積み重ねが2022年の納入に結実
何故このプロジェクトを実施するのか 何故このプロジェクトを実施するのか

デジタル化を加速させるDX(デジタルトランスフォメーション)の推進は、クライアントからの要望が高く、当社も約30年前からクレーンの自動運転に取り組んできました。近年、様々な技術が進歩したことで、一気に開発のスピードが加速しています。2022年には遠隔自動化クレーンを、初めて製品としてクライアントに納入することができました。

当社の遠隔自動化クレーンは、費用削減や時間短縮の面から、クライアントに喜ばれています。具体的には、独自のセンシング機能とデータ蓄積により、地面に指示装置を置かずにコンテナを地面に正しく置くことができるため、設置費用やメンテナンス費用の削減につながっています。また、コンテナの位置の微調正を自動化したことで、時間が短縮できていることなどです。

DX LOAD MAP

DX戦略のロードマップ スライドでご確認いただけます。
DX戦略のロードマップ

DX GROWTH STRATEGY DX GROWTH STRATEGY

DX成長戦略 スライドでご確認いただけます。
DX成長戦略

「モノ売り」ビジネスから「モノ+コトのセット売り」ビジネスへ 「モノ売り」ビジネスから「モノ+コトのセット売り」ビジネスへ

クレーン クレーン

遠隔自動化クレーンの導入は、クライアントにいくつものメリットをもたらします。労働環境の改善、作業効率の向上などといったクライアントのニーズに応えるために、当社は早くからクレーンの遠隔自動化に着手しました。遠隔自動化に必要な「通信・映像・センサー・制御・情報処理」の技術力が進歩したことや、4年前に当社初の試作機が完成したことで、製品化へのスピードが加速しました。
クレーン単体の納入に比べ、遠隔自動化クレーンの納入は付随するシステムなどのソフトも含めたパッケージとして提供するため、付加価値分の利益を生み出します。たとえば、吊荷を目標へ位置決めする制御システムや遠隔操作する際の指令やカメラ映像を送るための通信システムなどです。また、これら先進技術を用いた製品に対し、モニタリング、メンテナンス、アップグレードなどのサービスをパッケージ提供することで、クライアントが安心して運用頂けるよう取り組んでいます。
世界的にもクレーン単体の納入は、価格競争が激化しています。だからこそ、遠隔自動化の付加価値をつけて国際競争力を保つことは、今後の成長に必要不可欠です。当社は、日本の海運産業の担い手として、遠隔自動化クレーンの動向にしっかりと食らいつき、遠隔自動化の発展に貢献していきます。

クレーン クレーン

DXは脱炭素社会や地域課題解決にも貢献 DXは脱炭素社会や地域課題解決にも貢献

打ち合わせ中の画像 打ち合わせ中の画像

遠隔自動化クレーンの導入は、当社が推進するGX戦略にも貢献します。コンテナターミナルでの荷動きが効率化されること、ターミナル周りのトラックの渋滞が緩和されトラックの必要台数が減ることで、排出される二酸化炭素が削減されます。その他、騒音の低減にもつながるメリットもあります。 また、今後、地域課題の解決にも寄与できると言われています。地方の小規模港ほど、人材確保が厳しくなっているため、遠隔自動化クレーンが求められています。ただ、課題もあります。導入する場合の設備投資費用が重くなってしまうことです。それに対応する一案として、既存のクレーンに遠隔自動化機能を後付けする「レトロフィット」の可能性を探っています。

打ち合わせ中の画像 打ち合わせ中の画像

DX化によるビジネスモデルの転換に対応できる人材を育てる DX化によるビジネスモデルの転換に対応できる人材を育てる

クレーン クレーン

遠隔自動化クレーンを2022年に納入後、見学を希望される方々が増えています。中でも、コンテナターミナル関係のクライアントに限らず、製鉄所や重量物物流基地のクライアントからも関心を寄せられるようになりました。
人口縮小社会において、酷暑の中での作業や24時間止められない作業、粉塵が多い環境での作業など、労働環境を改善したいという要望の高まりは、業界問わず共通の課題になっているのです。
ただ、その課題を解決するDX化の波は、労働環境の改善などのメリットをもたらす一方で、あらゆるビジネス構造に変化をもたらします。当社も例外ではありません。ものづくり会社からサービス会社へ、意識を変えていくことが急務です。
クレーンはあくまで端末機と考え、遠隔自動化に付随するオペレーションシステムやゲートを含めた、コンテナヤード全体を管理できるようなサービス会社へのビジネスモデルの転換を視野に入れています。
一方で、極端にDX化することのリスクも意識する必要があります。DX化が進めば、現場対応をする人材よりも、機械を管理したり、バージョンアップしたりする人材が求められると思われがちです。ただし、何かあったときに現場対応をできない人材ばかりでは困ります。機械に全てを任せ、人が対応しないで済む局面がゼロにはならないからです。だからこそ、当社はものづくりができる人材とDXに強い人材の両方をきちんと育てていきます。

クレーン クレーン
クレーンでの作業 クレーンでの作業

エラー解消スピードの改善など時間効率も向上 エラー解消スピードの改善など時間効率も向上

遠隔自動化の開発を含めたDX推進の動きにより、当社の社員たちの時間効率も向上しています。たとえば、以前は何か問題が発生すると、電話で問い合わせ対応していましたが、今はリモートでPC画面を共有できたり、データをすぐに手元に取り寄せたりできるため、原因究明が早くなりました。その結果、クライアントにも、システムエラー時の解消スピードが劇的に早くなったと喜ばれるようになりました。そのほか、今までは各種機械の調整を高所などの危険な現場で行っていましたが、現在はクレーンに乗らずに安心安全な場所でデータを見ながら調整できるようになり、我々の働く環境も改善されました。

時代のニーズが、遠隔自動化クレーンに傾き、引き合いが目に見える形で増えていることもあり、社内全体の本事業に対する見方も変わってきています。かつて、自動運転の開発を一部のメンバーが担っていたことが信じられないほど、今は「全社で推進していく」という方針が社内に浸透していることを実感します。
今後、さらなる遠隔自動化クレーンの期待に応えていくには、新規の技術開発が必要不可欠です。だからこそ、文献を読んだり、詳しい人に聞きに行ったり、動きながら学び続ける姿勢を大切にしていきたいと考えています。

遠隔自動化の開発を含めたDX推進の動きにより、当社の社員たちの時間効率も向上しています。たとえば、以前は何か問題が発生すると、電話で問い合わせ対応していましたが、今はリモートでPC画面を共有できたり、データをすぐに手元に取り寄せたりできるため、原因究明が早くなりました。その結果、クライアントにも、システムエラー時の解消スピードが劇的に早くなったと喜ばれるようになりました。そのほか、今までは各種機械の調整を高所などの危険な現場で行っていましたが、現在はクレーンに乗らずに安心安全な場所でデータを見ながら調整できるようになり、我々の働く環境も改善されました。
時代のニーズが、遠隔自動化クレーンに傾き、引き合いが目に見える形で増えていることもあり、社内全体の本事業に対する見方も変わってきています。かつて、自動運転の開発を一部のメンバーが担っていたことが信じられないほど、今は「全社で推進していく」という方針が社内に浸透していることを実感します。
今後、さらなる遠隔自動化クレーンの期待に応えていくには、新規の技術開発が必要不可欠です。だからこそ、文献を読んだり、詳しい人に聞きに行ったり、動きながら学び続ける姿勢を大切にしていきたいと考えています。

時間効率の向上 時間効率の向上