GX PROJECT 脱炭素社会に向け、海上物流輸送領域に変革をもたらす。 GX PROJECT 脱炭素社会に向け、海上物流輸送領域に変革をもたらす。

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脱炭素社会に適した燃料でエンジンを動かす 脱炭素社会に適した燃料でエンジンを動かす

二酸化炭素排出ゼロのアンモニアや水素等を燃料にした脱炭素社会に向けたエンジンを作るーー。そんな環境に配慮した製品づくりを、当社は成長戦略の一つに掲げています。ただし、我々は次世代燃料に最近、着目したわけではありません。実は30年前から二酸化炭素排出量が少ない次世代燃料の一つであるLNGという液化天然ガスを燃料としたエンジンの開発を行ってきました。その積み重ねが今、アンモニアや水素焚きエンジンの開発につながっています。こうした環境に配慮した製品に当社が取り組むことは、地球を守ることに直結していると自負しています。それは、日本の大型舶用エンジンのシェア6割を当社が生産しているためです。業界を牽引し、社会的責任を背負う立場として、脱炭素社会で求められることを当たり前にやっていきます。

エンジンを動かす エンジンを動かす

PROJECT MEMBER PROJECT MEMBER

咲本 裕介
事業部長 ディーゼル事業部
事業部長
YUSUKE SAKIMOTO YUSUKE SAKIMOTO
糸山 剛士
プロジェクトリーダー ディーゼル事業部
設計部 計画グループ 主管
TSUYOSHI ITOYAMA TSUYOSHI ITOYAMA
宋 美都
プロジェクト担当 ディーゼル事業部
設計部 計画グループ
MITO SON MITO SON

※所属名等は取材当時のもの

why do this project why do this project

2024年までに開発を終わらせ、1年でも早く「脱重油」を実現させたい 2024年までに開発を終わらせ、1年でも早く「脱重油」を実現させたい
何故このプロジェクトを実施するのか 何故このプロジェクトを実施するのか

現在、重油焚きの船は世界の9割を占めています。国際海運では、2050年までに重油焚きの船をゼロにする目標が掲げられ、その実現に向けて日本もカーボンニュートラルゼロを宣言しました。そんな流れの中、当社が貢献できることは、2050年の目標を1年でも2年でも早めていくことです。
そのために、目下、二酸化炭素を排出しないアンモニア焚きのエンジンを2024年には船に実装させるべく、開発を急いでいます。水素焚きについては国交省の補助事業にも採択され、現在、実証試験を行っており、23年末に当社のテストエンジンにて試験を開始できるフェーズまで進んでいます。
エンジンの寿命は約20年あり、一度船に実装され世界に解き放たれてしまうと、重油焚きのエンジンを変えようにも20年変えられない状況になります。つまり、2050年に重油焚きエンジン0を目指すなら、2030年までにすべてを次世代燃料焚きの船に変えなければいけないということになります。だからこそ、今すぐにGX推進に舵を切ることが重要なのです。

実証試験を行っており、23年末に当社のテストエンジンにて試験を開始できるフェーズまで進んでいます。
エンジンの寿命は約20年あり、一度船に実装され世界に解き放たれてしまうと、重油焚きのエンジンを変えようにも20年変えられない状況になります。つまり、2050年に重油焚きエンジン0を目指すなら、2030年までにすべてを次世代燃料焚きの船に変えなければいけないということになります。だからこそ、今すぐにGX推進に舵を切ることが重要なのです。

GX ROAD MAP

GX戦略のロードマップ スライドでご確認いただけます。
GX戦略のロードマップ

GX GROWTH STRATEGY GX GROWTH STRATEGY

GX成長戦略 スライドでご確認いただけます。
GX成長戦略

LNG焚きからアンモニア焚きへ。時代のニーズに技術力で応える覚悟。 LNG焚きからアンモニア焚きへ。時代のニーズに技術力で応える覚悟。

打ち合わせ中の画像 打ち合わせ中の画像

当社は、30年前からLNG焚きのエンジンを開発に着手し、エタン、メタノール、LPGなどの次世代燃料の開発も実施してきました。その中で、近年世界的にも次世代燃料として注目度が高まっているアンモニアや水素焚きエンジンの開発を担うのは、リーディングカンパニーとして必然の選択でした。
今、市場は次世代燃料で動くエンジンを求めています。それは、30年前には予見できなかった変化です。思えば、当時LNG焚きを実装できたのは1台だけでした。それが10年前からLNG焚きのエンジンの問い合わせが増え、実装する船が1台、2台と増えていきました。
今後、エネルギーの主流が何になっていくか分かりません。重油からLNGへ、そしてアンモニアへシフトする変化を目の当たりにしてきた当社だからこそ、一つに絞らずにすべてを網羅することの重要性を実感しています。

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アンモニア焚きエンジンの課題解決は、収益向上のチャンスにもなる。 アンモニア焚きエンジンの課題解決は、収益向上のチャンスにもなる。

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アンモニアは二酸化炭素を排出しない燃料であるという魅力がある一方で、刺激臭のある有毒物質のため取り扱いが難しいという側面があります。そのため、燃料として用いる際、安全性が一番の課題になります。たとえば、アンモニアには燃えにくいという性質があり、不完全燃焼時には、アンモニアの毒性が残ります。その毒性を除外してから空気中に排出しなければなりません。
今までの重油焚きエンジンと比べると、安全性を確保することのハードルが高いのです。とはいえ、当社はそのハードルをチャンスと捉えています。当社はこれまで主にエンジンを納品していましたが、アンモニア焚きのエンジンの場合、アンモニアの燃料供給装置から、アンモニアガスの毒をとる除外装置までシステムとしてセットで納品することができます。エンジンの構造は重油焚きと9割方一緒ですが、燃焼する燃料が有毒なガスになることで、新たな機器が必要なのです。
当社は、30年前からLNG焚きエンジンに取り組んできた技術力を元に、アンモニアならではの課題を一つひとつ解決してきており、2024年の商用初号機完成を目指せる段階に入ってきています。
このように、LNG焚き技術を活用して、LNG以外にも、エタン焚き、メタノール焚き、LPG焚き、アンモニア焚き、水素焚きなど、様々な次世代燃料を利用するエンジンを開発できるのは当社の強みです。

打ち合わせ中の画像 打ち合わせ中の画像
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資源がない日本にとって、生産可能なアンモニアは魅力。 資源がない日本にとって、生産可能なアンモニアは魅力。

工場での作業中の画像 工場での作業中の画像

今後10年で、重油燃料から次世代燃料への切り替えが進むことは確実ですが、どの燃料が主流になるのかは、誰も分かっていません。
ただ、当社は次世代燃料焚きエンジンの市場において、最先端を走っている自負があります。この過渡期に、その波に乗り続けられるように、技術的な面はもちろん、造船所や日本造船業界の声を聞きながら、社会ニーズに対応した技術を早期に確立していくことが重要だと考えています。
さらに、市場が育っていくためには、アンモニアが世界的に供給できる燃料になっていなければいけません。そのために製造過程において、二酸化炭素を排出しないようにしないといけません。それが、グリーンアンモニアと言います。将来的にはグリーンアンモニアの供給を増やしていけるといいと思っています。そのために当社ができることは、早くアンモニア焚きのエンジンを作り、市場をリードしていくことです。

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前例のない課題に向き合いながら、手応えを感じる日々 前例のない課題に向き合いながら、手応えを感じる日々

重油焚きの開発が主流だったころは、前例がたくさんあり、入社数年の社員でも資料を参考にクライアントの対応をすることができました。しかし現在は、あらゆる種類の次世代燃料焚きのエンジンを扱っており、その燃料ごとの課題や技術等の知識も必要です。数年前には考えられなかったスピード感で世の中が変化しており、これから開発を担当する若手社員は前例がないことに挑戦する機会が格段に増えると思います。
また、驚いたのはアンモニアや水素等の次世代燃料を使用するということで、今までかかわりのなかった自動車業界の方からの問い合わせが増えたことです。今まで協業してきませんでしたが、脱炭素というゴールに向けて、他業界との協業が実現すれば、さらに付加価値のある製品を生み出せるのではないかと期待しています。

前例のない課題に向き合いながら、手応えを感じる日々 前例のない課題に向き合いながら、手応えを感じる日々